男性保育士の給料・年収の実態は?男性保育士の役割や課題についても解説!

 

かつては「保母」と呼ばれていた保育士。男性に限っては「保父」と呼ばれていました。

保育士が国家資格化されたこともあり、男性保育士の割合も増えましたが、それでも全体の1割にも満たず『平成30年賃金構造基本統計調査』によると、女性保育士は21万6220人であることに対し、男性保育士は1万3400人と、全体のわずか5.8%となっています。

男性の育児参加が進む中、今後ますます必要とされる「男性保育士」について給料面から見ていきます。

 

保育士の給与体系と見通しについて

 

厚生労働省の令和元年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報> によると、常勤保育士の給料(賞与込みの平均金額)は、私立保育園で月額301,823円(平均勤続年数11.2年)、公立保育所で月額303,113円(平均勤続年数11.0年)となっています。

この給料には、基本給、役職手当、特殊業務手当、資格手当、通勤手当、扶養手当、処遇改善手当などの各種手当が含まれています。この他、自治体によっては保育士確保のために上限86,000円の住居手当を補助しています。

また平成29年度より、保育士等キャリアアップ研修が始まりました。国による処遇改善を進めるにあたり、規定の研修を受け「副主任保育士(ミドルリーダー)」や「職務分野別リーダー(専門リーダー)」などの役職に任命する。という制度です。役職に就くことで5,000円〜4万円の手当が支給されます。

保育園の規模にもよりますが「副主任保育士(ミドルリーダー)」と「職務分野別リーダー(専門リーダー)」の数は、職員数の1/3(園長と主任保育士は母数から除く)です。職員数が15名の場合、2名が「副主任保育士(ミドルリーダー)」3名が「職務分野別リーダー(専門リーダー)」となります。

保育士の給料の相場については様々な意見がありますが、現代の日本において家庭を持つ男性の収入としては不安が多いと言えます。保育士の給与は、限られた運営費の中で予算組みされているため、給料を上げるためには役職を担うか、他の業態に就くこと、資格を取得することなどに限定されます。そのため多くの男性保育士は、役職に就くことを視野に入れています。

保育現場において男性であることメリット・課題を感じること

保育現場では、まだまだマイノリティである男性保育士ですが、働く上でのメリットも沢山あります。

女性が多い職種の中で男性が「子どもを育てる」という経験を得ることは、本人の人生において、とても高い価値を生むと言えます。

自分自身が子育てをするときはもちろん、友達や家族からの相談を受けたり、職場以外の場所でも頼りにされたりと、仕事の経験を通して人の役に立っている実感を得ることも多いことでしょう。

また保育施設は国の制度のもと運営されているため、他の職種と比べて経営が安定していることも魅力の一つです。

男性保育士として働くことには、課題もあります。他の職種よりも給与が低い事について前の章で述べましたが、それ以外にも男性というだけで有無を言わさず力仕事を任されることや、外遊びはお任せ!といった印象を勝手にもたれること、トイレやユニフォームなど女性仕様しか用意されていないことなどが課題として挙げられます。

どんな職種においても、性別によってメリットも課題も存在します。性別による印象に甘えず、自分自身の得意なことを活かすためのスキルアップを続けることが大切だと言えるでしょう。

男性保育士のロールモデルと今後の可能性

 

30代前半の男性保育士(Iさん)の例を見てみましょう。Iさんは、四国の地方都市で保育士をしています。20歳で短大を卒業する際に12園の採用試験に応募し、5園の面接を受けることができました。

しかし当時はまだ男性保育士は珍しく、面接でも「親は反対していないのか」「4・5歳児しか担任ができないが、問題ないか」「高いところでの作業や、バスの運転などをお願いしてもいいか」「大工仕事は得意か」など、疑問を持ってしまう質問を受けることも少なくなかったようです。結局、面接を受けた5園とも不採用。

この地域では、男性保育士として仕事を得ることすらできないと、関東に行くことを決めます。

しかしすでに新年度が始まっていたため、認可保育園の正規職員の採用枠は見つからず、認可外保育施設で働くことにしました。そこでは、保育士の業務に加えて調理に入ることもあり、更に人手不足の時は食材の買い出しまで、頼まれていたそうです。

調理担当で子どもと関わっていない日も「想像でいいから連絡帳を書くように」と管理者から指示を受け「これが本当に自分が目指した保育士なのか」と疑問を持ち、退職します。

その後四国に戻り、非常勤であればと採用された保育園は自宅から35Km。通勤は、車で片道50分かかりましたが、それでも保育士として子どもたちと日々を過ごせることに喜びを感じていたそうです

勤めている園の園長に許可をもらい、正規職員で働ける園を探し続けること。の距離を、2年半。念願叶って、ようやく自宅から10分程度で出勤できる園に就職することが決まります。

最初の1年は契約でしたが、その後正規職員となり担任を持つことになります。初めて担任を持つまでに短大卒業から4年かかりましたが、保育士として仕事を続けてきたことに大きな喜びを感じたそうです。

現在は、幼児教育の専門リーダーとして活躍しています。キャリアアップ研修を受けたことで、保育の面白さを再発見し、子どもたちの動きや興味に合わせて環境を設定をするために、DIYの腕を磨いています。

とても温厚なIさんは、他の保育士からいろいろな仕事を引き受け過ぎてしまいます。引き受け過ぎてしまう理由に「男性だから」という自分なりの思い込みや、信頼を得たいという思いがあります。

男性、女性関係なく保育士として協働しながら仕事をするためには、自分自身の意識改革が必要だと認識しているそうです。

プライベートでは一昨年に結婚したこともあり、将来を考えると今の給料では不安があるようです。保育士として今の保育園で働き続けるために、ミドルリーダーを目指して努力を続けると園長先生に伝えているとのことでした。

まとめ

日本の社会では、家庭において男性が多く稼ぐことが一般的ですが、保育園は男女関係なく公平な給与形態になっています。男性保育士が増えない理由の一つに、給与所得の低さが挙がっています。男性保育士だけに手当がつくということは考えにくいですが、保育士の処遇改善が進むことで、全体の給料が上がる可能性はあると考えられます。

しかし、現段階において男性保育士が給料を上げたい場合は、キャリアアップ研修を受講し役職手当を得ることや、管理職を目指すこと、障害児の施設や児童養護施設などさらに専門性が必要な施設に転職することなどが選択肢となるでしょう。

自分で必要とする給料を得るためには、自分自身の興味や価値観、ライフプランやキャリアとしっかりと向き合い、3〜5年の中長期的な視点で検討することが必要です。

また、国としても働き方改革が進められていく中で、今後は性別に対する社会の考え方も変わっていくことが予想されます。男性保育士であっても現場で働き続けられるために、国家資格としての保育士の専門性を高めたいものですね。

   

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