保育士不足は今後も続く?保育士の将来性について解説します。

 

子どもの成長を喜びとする保育士の仕事は、今も昔も人気の職業の一つ。13歳のハローワーク公式サイトでは、堂々の第4位となっています。(令和2年1月31日現在)とは言え、保育園や保育士に関するニュースは何かとネガティブなものが多いことも事実。そこで今回は、保育士不足が起きているメカニズムと、保育士の仕事の将来的な見通し、そして保育士不足解決のための公的なサポートについて説明していきます。

 

少子化なのに…保育士不足はどうして起きるの?

日本の出生数は3年連続で100万人を割っており、1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.42となっています。

少子化と聞くと、保育園に入ってくる子どもの数も減るような印象を受けますが、出生数は減っていても働く女性の数が圧倒的に増えていることから、保育園を利用する子どもの数は増え続けています。

そのために国は子ども子育て支援新制度を新設し、多くの認可保育所を開設しています。

また認定こども園や小規模保育事業、企業主導型保育などの新しい保育の形も生まれています。

2015年(4月1日時点)では、2万8783ヵ所だった保育園の数は2019年(4月1日時点)で、3万6345カ所にまで増えています。

遡って12年4月と比較してみると1.5倍の数となっており、主に働く女性が多く保育園が足りない地域での開設が急増しています。

その結果、日本中で保育士の必要人数が増えており、保育士不足に繋がっています。離職率の高さについて報道されることもありますが、離職率については全職種の平均と比較して決して高くはありません。

また、保育士不足になる要因の一つに「潜在保育士」の存在があります。全国で保育士資格を持つ人は約120万人と言われていますが、実際に保育所に勤務する人は40万人程度です。約2/3の保育士資格者は保育施設で働いていないことになります。

 

保育士不足に待ったナシ!保育士になると受けられるサポートを知ろう

 

保育士不足を解消するために、保育施設だけでなく、国や自治体も様々な助成を打ち出しています。いくつか事例を見てみましょう。

東京都の場合は、住宅支援制度という政策で「保育士の給料を増やそう」という流れになっています。東京都世田谷区では、「宿舎借り上げ支援制度」を取り入れています。世田谷区内の保育施設が借り上げた宿舎(マンションなど)を利用して、最大82,000円の住宅に住むことができます。

また大田区では、区内保育施設に勤務する保育士のために「保育士宿舎借り上げ補助制度」を新設しました。こちらも、上限は82,000円となっています。その他、千葉県船橋市では、待機児童数が県内最多、全国でもワースト2位であったため、2015年度から家賃補助制度と修学資金貸付け制度をいち早く開始し保育士確保に取り組んでいます。

また、保育従事職員資格取得支援事業補助という制度もあります。この制度は保育施設に勤務する、または保育施設に勤務を予定する人が、保育士資格を取得する際に、経費の一部を補助する事業です。詳細は以下のようになっています。(引用:東京都福祉保健局保育人材確保の取り組みについて

【受講料等】 

  •  指定保育士養成施設卒業による資格取得(施設在勤)
  •  保育士資格取得特例制度による資格取得(施設在勤)
  •  幼稚園教諭免許を活用した資格取得(施設在勤)  
  •  通常試験による資格取得(施設在勤)          
  •  通常試験による資格取得(保育施設に勤務予定)   

受講料と代替職員経費の補助については、保育士資格取得後1年間保育所等に勤務することが必要です。この補助金によって、保育補助や子育て支援員で働く職員が保育士資格を取得することのハードルが下がりました。

保育士資格の取得を目指す学生に対して、修学資金を貸し付ける制度もあります。

保育士修学資金貸付制度(貸付)と呼ばれ、指定保育士養成施設に在学することが必須です。この制度によって、保育士を目指す学生の修学が容易になりました。

貸付上限額は月額50,000円(ただし、2年間分120万円が上限)となっており、入学・卒業時に入学準備金・就職準備金としてそれぞれ200,000円ずつ加算することも可能です。

また、保育士の養成及び確保を目的としているため、返還免除規定も設けてあります。保育士養成施設卒業後、都内保育施設に5年間勤める等の要件をクリアすれば、返還不要となります。貸付には所得制限等一定の基準があるため、確認が必要です。この他にも、奨学金の返済に対する補助を設けている自治体もあります。

保育士の将来性について考えてみよう

 

国の子育て支援が充実する中、保育士の資格を持っている人の活躍の場も広がっています。一般的なのは保育園や幼稚園などの日中に子どもが通ってくる施設、子育て支援センターやひろばなど保護者と子どもが一緒に通う施設などです。

 

また、放課後の小学生を預かる放課後児童クラブ(通称、学童保育)や、児童館など乳幼児以外の子どもたちの施設もあります。

 

そして、乳児院や児童養護施設など、家庭生活が続けられなくなった子どもたちが「入所」する施設で働く保育士もいます。この他、肢体不自由児や医療的ケア児を対象にした施設もあり、多様な場での活躍が可能です。

 

近年では保育士にも多様な働き方が生まれており、ベビーシッターのサイトに登録しフリーで活躍する保育士や、カラーコディネーターやインテリアコーディネータなどの資格を活かして保育の分野で活躍している保育士もいます。

平成29年度より保育士がキャリアアップしていくための研修制度が創設されました。平成29年以前は、保育士には免許更新や法定研修の制度がなく、それぞれの園の意向で研修への参加や園内研修が実施されてきました。

資格を持って働いていながら、学びを深め仕事をスキルアップしていくことや、多様な役職の中で自分自身を高めていくことはなかなか困難だったのです。しかし、キャリアアップ研修と合わせて処遇改善も行われ、園内での保育士の役職も増えています。

かつては主任保育士以下、リーダー、担任、フリーといった構造でしたが、専門リーダーやミドルリーダーなどの役職が加わり、20代・30代でも保育士としての将来像を描きながら仕事に当たることができるようになりました。

 

まとめ 

保育士の仕事は、様々な場所で必要とされていることはお伝えしましたが、どの職場であっても「子ども」が中心であることは変わりません。どんな場面でも、大人の都合を優先することなく「子どもの視点」に立ち、子どもの最善の利益を保障することが求められます。

少子化だからこそ、保育士に求められていることは「一人一人を大切に育むこと」と「乳幼児期に必要な経験の保障」です。先生として子どもに何かを教えることよりも「何を求めているのかな」「この子が考えていることは何だろう」「どうしたら保護者を支援できるかな」と想像をしながら、日々コツコツと仕事ができる人に向いた仕事とも言えます。

子どもは日々成長し、毎日変化していきます。昨日よりも今日、今日よりも明日と、希望を持ちながら生活しています。その成長を助けながら、自分自身も楽しみを持って仕事ができることは、保育士の醍醐味とも言えますね。

 

      2020/03/03

 - 保育士になるには