保育士の年収・給与について。給料を上げる方法についても解説。

 

日本では働く女性が増えたことで保育の需要が高まり、待機児童が社会問題となっています。

その問題を解決するために国の政策によって保育園の数が一気に増え、連動して保育士の必要数も大幅に増えています。その結果、保育士不足を招いているため、国も保育士の処遇改善を進めています。

一般的には「年収が低い」と言われている保育士ですが、現実はどうでしょうか。働き方や手当、キャリアアップの仕組みなどを知り、仕事内容と年収の関係性について見てみましょう。

 

給与の全体像、手当てについて

 

厚生労働省の令和元年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報> によると、常勤保育士の給与は、私立保育園で月額301,823円(平均勤続年数11.2年)、公立保育所で月額303,113円(平均勤続年数11.0年)となっています。

また、非常勤保育士の給与は、私立保育園で月額187,816円(平均勤続年数10.1年)、公立保育所で月額162,859円(平均勤続年数7.8年)となっています。常勤、非常勤共に賞与込みの平均金額となっています。

給与は、基本給に加え、役職手当、特殊業務手当、資格手当、通勤手当、扶養手当、処遇改善手当などの各種手当が含まれています。特殊業務手当は、毎月の行事やなどの通常業務以外に仕事が増えることへの手当です。

保育園ならではの資格に対する手当で、国基準では月額7,800円となっています。保育補助や調理員、事務員などは対象外となる手当です。

また国による処遇改善が進み「副主任保育士(ミドルリーダー)」や「職務分野別リーダー(専門リーダー)」などの役職が生まれています。役割を担うことで5,000円〜4万円の手当が支給されています。

保育園の規模にもよりますが「副主任保育士(ミドルリーダー)」と「職務分野別リーダー(専門リーダー)」の数は、職員数の1/3(園長と主任保育士は母数から除く)です。職員数が15名の場合、2名が「副主任保育士(ミドルリーダー)」3名が「職務分野別リーダー(専門リーダー)」となります。

この他、保育士確保のために上限86,000円の住居手当を補助している自治体もあり、基本給以外で支給される金額を含めると、決して低収入とは言えない仕事になりつつあります。

保育士の給与・年収アップの方法

 

とは言え、業務内容や拘束時間、将来的な見通しを考えると、保育士の給与は決して高いとは言えないことも事実です。限られた運営費の中で、必要な保育士数を確保し園を運営しているため、自分だけが給与をアップしてもらう。

ということは事実上不可能です。保育園で勤める保育士が給与をアップするためには、主に4つの方法があります。

 

①園内でのキャリアアップ

1つ目は、園内でキャリアアップすることです。処遇改善手当の件で触れましたが、キャリアアップ研修の創設により、「副主任保育士(ミドルリーダー)」や「職務分野別リーダー(専門リーダー)」などの役職が生まれました。

「副主任保育士(ミドルリーダー)」で月額4万円、「職務分野別リーダー(専門リーダー)」で月額5,000円の手当が支給されます。

これらの役職に就くためには「副主任保育士(ミドルリーダー)」で最低4科目、「職務分野別リーダー(専門リーダー)」で最低1科目のキャリアアップ研修(1科目15時間)を受ける必要があります。

②法人内で移動する

2つ目は、法人内で移動することです。園を幾つも経営している大きな法人の場合、園長や主任保育士の役職者の退職や新園の開園によって、新たな園長や主任保育士が必要となります。

法人本部や直属の上司へ、管理職を目指していることあらかじめ伝えておき、役職試験にチャレンジできるようにしましょう。

③保育士の資格を活かして働く場所を変える

3つ目は、保育士の資格を活かす場所を変えることです。児童発達支援施設や、放課後児童クラブ、医療的ケア児を対象とした保育施設など、保育士の活躍の場は、年々広がっています。

福祉や医療といった側面を持つ施設に勤め、保育士としてのスキルを活かすことで給与をアップさせていくことも可能です。

④資格を取得する

4つ目は、資格の取得です。幼保連携型認定こども園で勤める場合、保育士に加え幼稚園教諭免許を保持している場合は「保育教諭」になります。保育士と保育教諭では基本給が違う園もあり、保育士しか資格を持っていない場合は幼稚園教諭免許を取得することで、給与をアップすることができます。

その他、社会福祉士や児童発達支援管理責任者などの福祉に関する資格や、バスを運転するために大型免許を取得し手当をもらうことも給与アップにつながります。いずれも園によって規定や考え方があるため、事前に調べておきましょう。

年収よりも、働きやすさややりがいを重視することも選択の1つ

保育士の年収については、様々な見解があります。保育園勤務の場合、平日勤務が中心で夜勤がないことや、国家資格といっても看護師や社会福祉士や薬剤師のように国家試験を受ける必要がないことなどを踏まえると、処遇は悪くないのでは。という世の中の見方もあります。

また近年は保育士不足も相まって、パートや非常勤などの比較的自由度の高い働き方も選択できます。これらのことを含めると、保育士はプライベートを重視したライフサイクルが描きやすい職種と言えるのではないでしょうか。自分の望む働き方を理解し、子育てや介護をしながら仕事を続けている保育士もたくさんいます。

 

子どもの成長に関わることの充実感や、子育てを支援していることへの喜びなど、年収では測れない恩恵を受けやすい現場でもあり、働きやすさややりがいを重視する人が選ぶ職種とも言えるでしょう。

まとめ 

今回は、保育士の年収についてまとめました。一般的に「低い」「高い」で図られやすい年収ですが、保育士の働く環境、保育士不足による手当の増額、やりがいなども併せて考えてみると、決して低いとは言えない事はお分かりいただけたのではないでしょうか。

 

また、これまでの園長・主任保育士以下みんな同じ保育士という組織構造に、「副主任保育士(ミドルリーダー)」や「職務分野別リーダー(専門リーダー)」などの役職が加わったことで、20代30代の保育士にも将来的な見通しが立つようになりました。

 

保育士何年目、年長クラスを何回持った。という経験以外の「保育士に求められる専門性」が明確になり、キャリアと年収を同時にあげることができるようになりました。

平成31年4月1日現在、全国には保育所が23,573施設、幼保連携型認定こども園が5,140施設、幼稚園型認定こども園等が1,175施設、地域特定保育施設が6,457施設あり、合計36,345の保育施設があり、それぞれの園が子どもにとって必要な保育を提供するための知恵を出し合い、運営しています。

 

特に保育士不足の昨今は、自分自身が大切にしたい価値観によって、働く保育園を選ぶ事ができます。保育内容や園の理念を重視したいのか、自分の時間を確保したいのか、キャリアアップして保育の仕事を高めていきたいのか、年収を上げていきたいのか、保育士の視点を活かし他の分野で活躍したいのかなど、その時々で自己理解を図り、選択することが重要です。

 

報道や園内での情報に振り回されることなく、自分自身で考え決断することで、納得のいく働き方が実現できるのではないでしょうか。

 

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