保育士・幼稚園教諭どっちがいいの?保育士・幼稚園教諭の仕事内容・待遇・年収などを徹底比較!
保育士と幼稚園教諭は、どちらも子供と触れ合うのが仕事のベースとなっている職業ですが、年収や待遇、必要となる資格など、どのような違いがあるのかは、その仕事を目指す方にとっては気になるところです。
ここでは、保育士と幼稚園教諭の仕事内容やそれぞれのメリット・デメリット、待遇や年収などの比較や検証をしていきます。
Contents
保育士・幼稚園教諭のそれぞれの仕事内容
まずは保育士と幼稚園教諭のそれぞれの仕事内容について解説していきます。
保育士と幼稚園教諭は目的が異なる
保育所は子供を保育することを目的とした施設であり、保育士は子供の日常生活の補助や生活習慣を子供が身に付けることを補助するのが仕事のベースとしてあります。
一方の幼稚園の目的は子供を教育することであり、幼稚園教諭は子供に知識や運動、芸術など気品的な教育をベースにして子供を保育することが仕事内容になります。
つまり、保育所は「子供の基本的な生活習慣を養う場」、幼稚園は「子供の就学に備える場」であることが大きな違いと言えるでしょう。
目的は異なるが一日の流れは似ている
保育士 | 幼稚園教諭 |
l 園児の受け入れ準備
l 園児の登園 l 午前の活動 l 昼食 l お昼寝 l おやつ l 午後の活動 l 園児の降園 l 夕方の活動(延長保育) l 園児の降園 l 掃除や翌日の準備 |
l 園児の受け入れ準備
l 園児の登園 l 午前の活動 l 昼食 l 自由遊び l 園児の降園 l 事務仕事や行事の準備 |
保育所や幼稚園によっては異なりますが、一日の流れとしては大体このようになっています。
時間だけを見ると保育所の方が長いですが、保育士はシフト制で勤務するため、幼稚園教諭との労働時間にあまり差はないと言えます。
ただ、保育所の場合、早番と遅番で仕事の内容に違いがあるため、時間帯に応じた仕事に対応する必要があります。
幼稚園の場合も、事務作業や休園日での研修などに対応するため、シフト制を導入している幼稚園もありますが、保育士のようにシフトによる業務の違いはないと言えます。
保育士・幼稚園教諭の比較表
ここからは、保育士・幼稚園教諭の給与や必要となる資格、平均的な労働時間などを、表に表して比較してみます。
保育士 | 幼稚園教諭 | |
必要な資格 | 保育士資格 | 幼稚園教諭免許 |
月給 | 平均23万円 | 平均23万円 |
労働時間 | 平均8時間 | 平均8時間 |
残業の多さ | シーズンによって異なる | シーズンによって異なる |
長期休み | 特に規定なし | 夏や冬に長期休みあり |
保育士と幼稚園教諭は必要な資格が異なります。
保育士の場合は保育資格、幼稚園教諭の場合は幼稚園教諭免許と、それぞれ異なる資格が必要となり、保育資格は厚生労働省の管轄で取得でき、幼稚園教諭免許は文部科学省の管轄で取得ができます。
保育士と幼稚園教諭は保育の内容が異なるため、資格の管轄に違いがあることにも納得です。
月給に関してですが、こちらは保育士と幼稚園教諭どちらも平均で月給23万ほどとされており、大きな差はないように思えますが、働く保育所や幼稚園の規模や運営方針、また働くエリアによって違いがあることもあるので、転職する際には保育所や幼稚園、また自身が働くエリアなどを事前に調査しておきましょう。
労働時間においても保育士と幼稚園教諭に大きな差はありませんが、保育士の場合はシフト制を採用しているなど、勤務形態に違いがあります。
また、保育所は延長保育などをおこなっているので、子供を預かる時間が長いですが、幼稚園の場合は午後2時くらいで子供が降園するので、午後の仕事内容に違いがあると言えます。
最後に長期休暇に関してですが、保育所は決まった時期での長期休みの設定はなく、保育所によってはお盆も子供を預かってくれる所もあります。
一方の幼稚園では夏や冬に長期休みを設けているところが多く、子供の夏休みや冬休み(夏はお盆を基準に冬は年末年始を基準)に合わせて長期で休みを取ることができるようです。
保育士・幼稚園教諭のそれぞれのメリット・デメリット
ここからは、上記の情報を踏まえて、保育士と幼稚園教諭のそれぞれのメリット・デメリットを分析・検証していきたいと思います。
保育士のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
l 乳児院や児童養護施設でも働ける
l 幅広い年代の子供と関われる |
l 幼稚園に比べ体力が必要
l シフト形態に対応が必要 |
保育士のメリット・デメリットにはこのようなことが考えられます。
一番のメリットは保育士資格を持っていれば、乳児院や児童養護施設など、保育所以外でも働くことができることだと言えます。
また、保育所の場合、0歳から子供受け入れることができるので、幼稚園と比べ幅広い年代の子供と触れ合うことができ、これは保育スキルを養う上でも大きなメリットになると言えるでしょう。
ですが保育所の場合、幼稚園と比べ受け持つ子供の人数が多いため、それだけ幼稚園教諭よりも体力が必要になると言えます。
幼稚園教諭のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
l 固定勤務なので不規則にならない
l 長期休みを取りやすい |
l 子供と関わる時間が少ない
l 意外と残業が多い |
幼稚園教諭のメリット・デメリットにはこのようなことが考えられます。
幼稚園の場合、保育所とは異なりシフト制を導入しているところが少なく、多くの幼稚園が固定勤務となるため、仕事の量や流れが安定的です。
ですが、幼稚園の場合、保育所よりも行事が多いため、その時期によっては残業が多くなってしまうことがデメリットとして考えられます。
幼稚園自体は14時になれば子供が降園しますが、行事のある時期は子供が降園した後も、書き物や制作物、会議などやることが多いため、時には帰宅時間が夜の遅い時間になることもあります。
保育士・幼稚園教諭の違い 大きなポイントは3つ
保育士と幼稚園教諭、細かい仕事の内容や目的に違いはありましたが、「子供を保育・教育」するという点においてはどちらも同じでしたが、資格の内容や習得方法などに違いがあり、給料面や仕事内容以前に、「なるための過程」に大きな違いがあると言えます。
資格内容
上記でも解説しましたが、保育士は「保育士資格」、幼稚園教諭は「幼稚園教諭免許」と、それぞれ異なる資格が異なり、保育士資格は福祉分野、幼稚園教諭免許は教育分野にそれぞれ分類されます。
資格の取得方法
保育士資格と幼稚園教諭免許は、管轄も違えば分野も違うわけですから、当然ながら取得方法も異なります。
保育士資格 | |
受験資格 | l 大学・短大・高等専門学校等を卒業
l 高校または中等教育学校等を卒業し、児童福祉施設にて2年以上かつ2880時間の実務経験を有する者 l 児童福祉施設にて5年以上かつ7200時間の実務経験を有する者 |
取得方法 | l 養成校を卒業時に取得
l 保育士試験に合格する |
合格率 | l 約20% |
保育士になるためのルートは大きく分けて2パターンあります。
ひとつは、厚生労働省指定の専門学校や大学、短大など、養成学校で所定の科目及び課程を履修することで、卒業する時に保育資格を得ることができます。
もうひとつは、独学や通信講座などを利用して、年2回開催される保育士試験に合格することで保育資格を得ることができます。
幼稚園教諭免許 | |
受験資格 | l 大学・短大・高等専門学校等を卒業
l 高等学校を卒業した者、その他大学に入学する資格のある者で、20歳以上の者 l 保育士の資格を所有し、保育士として3年以上の実務経験があること |
取得方法 | l 養成校を卒業時に取得
l 保育士資格を持って実務経験を行う |
合格率 | l 約20% |
こちらも保育資格と同じく2パターンのルートが存在し、幼稚園教諭の場合は文部科学省が指定した養成学校を卒業し免許を取得することができ、ひとつめのパターンとしては保育士と同じような内容と言えます。
ふたつ目のルートですが、こちらが保育士と大きく違う点で、幼稚園教諭免許は保育士資格を持っていれば取得することができます。
① 保育士資格を取得する
↓ ② 実務経験を3年/4.320時間実施する ↓ ③ 指定された5科目8単位を取得 ↓ ④ 都道府県教育委員会に申請 |
この流れで幼稚園教諭免許を取得することが可能です。つまり、保育士としてすでに3年/4.320時間以上の実務経験がある方は、指定された5科目8単位を取得後に都道府県教育委員会に申請すると、幼稚園教諭免許を取得できるということになります。
働く場所や体力面
幼稚園教諭の場合、幼稚園のみで働くことができますが、保育士の場合は上記でもあったように保育所以外の場所でも働くことができ、これは非常に大きな違いであると言えるでしょう。
働ける場所の多い保育士ではありますが、子供と接する時間が多いことや、受け持つ子供の人数が多いことなどから、幼稚園教諭よりも体力は必要になると言えます。
保育士・幼稚園教諭、どちらにもそれぞれの特徴があり、メリット・デメリットもあるので、それらをしっかりと理解した上で、自分の働き方のスタイルや、体力面などを考慮をして、自分に合った職業を目指しましょう。
保育士・幼稚園教諭 働くならどちらがいいの?
ここまで、保育士と幼稚園教諭のそれぞれの特徴やメリット・デメリットなどを見てきましたが、保育士と幼稚園教諭働くならどちらがいいのかは一概に言えず、あくまでも自身の目的やスタイルに合った方の職業を選ぶことが大事だと言えます。
以下では、ここで紹介したそれぞれの特徴やメリット・デメリット踏まえた上でポイントとしてまとめてみました。
<h3>市場価値が高いのは保育士
保育士は、保育所以外でも働けること、保育士資格を持っていれば幼稚園教諭の免許も取得できることなどから、市場価値は幼稚園教諭よりも高いと考えることができます。
つまり「仕事においては幼稚園教諭よりもつぶしが利く」と言え、キャリアアップ目指したい方や、将来的に幅広い仕事をしたい方には、保育士の方が向いていると言えます。
将来的に需要が高くなりつつある病児保育でも、病児保育士の多くが保育士出身の方だったりと、将来性にも期待が持てる職業と言えます。
固定勤務で働きたいのなら幼稚園教諭
幼稚園教諭は、シフト形態の保育士とは違い固定勤務で安定的に働くことができます。
行事の多い時期になると残業が多く発生する傾向がありますが、それでも基本は決まった時間に出勤し、決まった時間に帰宅することができるので、プライベートの予定も組みやすいです。
「子供は好きだけど仕事とプライベートを上手く両立したい」といった方は、固定勤務で働ける幼稚園教諭がおすすめと言えるでしょう。
両方の資格を持つのもあり
保育士・幼稚園教諭どちらの資格も取得しておくのもありと言えます。
上記でもありました、保育士資格をもって保育士として3年/4.320時間以上の実務経験があれば、幼稚園教諭の免許も取得できますし、最近では保育士と幼稚園教諭どちらの資格も卒業と同時に取得できる学校も増えてきています。どちらの資格も取得しておけば転職の際にも有利に働きます。
保育に関して幅広く活動をしたい方や、就職や転職を見据えて有利に活動したい方などは、保育士・幼稚園教諭どちらの資格も取得しておくのもありと言えるでしょう。
まとめ
ここでは、保育士と幼稚園教諭の仕事内容や待遇などさまざまな情報を比較してきました。
結論から言ってどちらの職業が優れていて、どちらの職業の方が働きやすいとはっきり言い切ることはできませんが、保育士と幼稚園教諭どちらもメリット・デメリットがあるので、自身の目的やスタイルに応じた職業を選ぶことが大事だと言えます。
仕事の目的や志、子供に対しての考え方や向き合い方など、どの職業が自身に合っているのかをしっかりと自己分析して、保育士と幼稚園教諭を選んできましょう。